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【死生に関するいくつかの断想】(小泉八雲)

 

 

『小泉八雲作品集・54作品⇒1冊』

『小泉八雲作品集・54作品⇒1冊』

 

 

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図書カード:死生に関するいくつかの断想

 

(以下、部分抜粋)

 

・水神様は、屋敷の持ち主が清めについても決まりをしっかり守っていれば、

井戸の水を甘露にして、かつ冷たく保って、あらゆる井戸を守ってくれる。

これらのおきてを破った者には病や死が訪れるという。

稀には、この神は蛇の姿となって現れることがある。

 

・長いこと雨が降らなければ、屋根は太陽の熱で火が付くだろうと考えられていた。

 

・泥棒も納得したと見えて、「そりぁそうたいな。そんなら、これは

持ってかんたい。」と言った。

 

・その昔、怒った群衆が略奪して、町の米問屋の住家や米蔵を打ち壊した。

小判を含むその金銭は通りにばら撒かれた。

暴徒たちは――粗野だが正直な農民たちで――それを欲しなかった。

彼らが望んだのは打ちこわしであって、盗むことではなかった。

 

・彼は、手箱を取り出し、硯を用意し、墨を摺り、良い筆を執って、

注意深く選んだ紙に、五つの辞世の歌を綴った。

つぎが最後のものである。

「冥途より郵電報があるのなら 早く安着申し送らん」

そして、喉をりっぱにかき切った。

 

・日本の女性は、幾度となく赦すことができ、またいじらしくも何度も自分を

犠牲にすることができる。ところが、ある心の琴線に触れると、怒りの激情の炎に

駆られるよりは、かえって赦してしまう。

 

そうすると、突如として、か弱そうな女性の中に、信じられないほどの胆力が

据わってくるのである。それは、本心からの復讐というべきもので、

ぞっとするほどの、また冷静であくなき決意である。

 

また、男性の驚くべき自己抑制や忍耐の下には、触れるととても危険で、

堅固なものが存在している。それに容易に触れようものなら、許されはしない。

憤りは単なる危険によってはめったに引き起こされないが、

動機は激しく吟味される。

つまり、過ちは許されるが、意図的な悪意は決して赦されない。